2021年12月10日に「令和4年度 税制改正大綱」によって、2021年末で終了予定だった子や孫への住宅購入のための資金の非課税贈与制度が、2023年末まで延長されることが示されました。
また、非課税となる金額が最大1,500万円から1,000万円へと縮小されます。
<主な改正内容>
①適用期限
もともと期限を「令和3年(2021年)12月31日まで」と定めていましたが、この期限が2年延長され、「令和5年(2023年)12月31日」まで適用延長となりました。
②非課税限度額
住宅の形態 | 非課税限度額 |
耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋 | 1,000万円 |
上記以外の住宅用家屋 | 500万円 |
改正前は住宅取得契約の締結時期によって条件がありましたが、今回は契約の締結時期が条件から外されました。
また非課税限度額は最大1,500万円から1,000万円に改正されました。
③中古住宅の築年数要件
対象となる住宅用家屋の要件であった築年数基準を廃止し、登記簿建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋は新耐震基準適合とみなされます。
④受贈者の年齢要件
成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、令和4年4月1日以降の贈与から18歳以上に引き下げられます。
またこれらの改正は、2022年(令和4年)1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用されます。
※④については、2022年(令和4年)4月1日以後
住宅資金贈与の特例を活用する際の注意点
住宅取得等資金の非課税の特例を利用する際の注意点としては次の二つが挙げられます。
- 贈与税の納税は不要でも申告が必要
- 相続時精算課税制度も適用できる
それぞれに解説していきましょう。
贈与税の納税は不要でも申告は必要
住宅取得等資金の非課税の特例の適用を受けるには、贈与税の申告が必要です。たとえ贈与税を払わなくてもいい場合でも申告は行ってください。
申告の期間は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間で、管轄する税務署に贈与税の申告書を提出します。なお、その際には戸籍の謄本や住宅購入の契約書など一定の書類を添えて提出をします。
相続時精算課税制度も適用できる
住宅取得等資金の非課税の特例はすでにふれた相続時精算課税と併せて適用できるため、非課税額はさらに拡大します。ただし、この際には注意が必要です。というのも、相続時精算課税を選択すると、それ以降は110万円の非課税枠をもつ暦年課税を選択することができなくなるからです。その後に贈与を受けた場合は相続財産として積み上げられていくことになります。
相続時精算課税は将来的に贈与した財産を相続財産にプラスして相続税の申告を行う必要があるため、慎重に考える必要があるというわけです。