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なぜ山梨に空き家は多いのか?増え続ける空き家リスクと対策をプロが解説します!

【徹底解説】実家の空き家リスクに備えよ!不動産のプロが伝授する空き家対策とその注意点

こんにちは。もてぎ不動産の茂手木です。

今回のブログでは山梨でも増え続ける空き家問題に焦点を当て、空き家を放置し続けることで起こりうるリスクと、その対策について解説します

この記事でわかること

  • 空き家問題の現状
  • 空き家が増える原因
  • 空き家を放置することで発生するリスク
  • リスクを回避するための対策
  • 山梨の空き家バンク一覧

少しでも皆様の参考になれば幸いです。

増加し続ける空き家問題とは?

山梨は空き家率全国ナンバーワンなどとよく言われます。

山梨に空き家が多いのは「別荘が多い」「農地と一緒なので家を手放しづらい」などの理由が多いと聞きますが、そもそも空き家とはどのような状態を指すのでしょうか?

私たち不動産業界が取り扱う「売家」も大枠で捉えると「空き家」と言えそうです。

山梨では「別荘が多い」「農地と一緒なので家を手放しづらい」などの理由で空き家が多く存在するなどと聞きますが、そもそも空き家とはどのような状態を指すのでしょうか?

しかし大きな社会的問題となっている「空き家」とは少し勝手が違いそうです。

まずは初めに空き家の定義について解説していきます。

空き家の定義

国土交通省の資料によりますと「概ね1年間を通じて電気・ガス・水道の使用実績がない建築物」を空き家と呼ぶとあります。

同時に「年に1度部屋の空気の入れ替えに来ている」という場合には「使用している」と見なされる、ともあります。

【参考資料】 令和元年空き家所有者実態調査

つまり、1年以上何もせずにほったらかしておくと「空き家」になってしまうよ、ということのようです。

私たちの感覚としては10年、20年放置されている建物を空き家と呼ぶ雰囲気がありますが、実は空き家と認定されるまでの期間は意外と短いのです。(ちなみにマンションなどはこの限りではなく、全戸が空室にならない限り空き家とは呼びません)

1年以上何もせずにほったらかしておくと「空き家」になってしまうよ、ということのようです。

また、平成26年に空き家問題への対応策として国会で「空家等対策の推進に関する特別措置法」が成立されました。この法律の中で、空き家は以下のように定義されています。

この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。

この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

平成二十六年法律第百二十七号 / 空家等対策の推進に関する特別措置法

この特別措置法の中では「誰も住んでいない、利用されていないことが常態化された建築物およびその敷地」のことを空き家と定義しています。

2030年代には空き家が急増

2030年代には空き家が急増

今から10年後の2033年には全国の空き家率が30%を超え、一戸建ての10件に3件が空き家になると予測されています。

これは驚くべき数字です。

2016年に発表された野村総合研究所の調査によりますと「2023年の総住宅数は7,130万戸へと増大し、空き家数は2,170万戸、空き家率は30.4%へと上昇する見込み」とあります。

2016年に発表された野村総合研究所の調査によりますと「2023年の総住宅数は7,130万戸へと増大し、空き家数は2,170万戸、空き家率は30.4%へと上昇する見込み」とあります。
出典 / 野村総合研究所 「2030 年の既存住宅流通量は 34 万戸に増加

2018年の空き家率は13.6%ですから、今後10年で空き家の割合は倍増することになります。

参考資料:2030 年の既存住宅流通量は 34 万戸に増加 / 野村総合研究所

山梨の空き家率全国1位は本当か?

山梨に住む我々がよく目にする「山梨の空き家率は全国1位」は本当でしょうか?

山梨の空き家率を見てみますと、確かに2018年時点で21.3%と全国1位となっています。

山梨の空き家率を見てみますと、確かに2018年時点で21.3%と全国1位となっています。
出典 / 山梨県 住宅・土地統計調査結果報告書

ただし、この数字の中には別荘などの2次的住宅が含まれています。所有者が高齢のために使われなくなった別荘など2次的住宅を除いた山梨の空き家率は17.4%となり全国7位です。

ただし、この数字の中には別荘などの2次的住宅が含まれています。所有者が高齢のために使われなくなった別荘など2次的住宅を除いた山梨の空き家率は17.4%となり全国7位です。
出典 / 山梨県 住宅・土地統計調査結果報告書

とはいえ、依然として山梨の空き家率は高い状態ですので、2033年頃には山梨の空き家率が全国平均の30%を上回るのは確実と思われます。

山梨は持ち家率が70%と全国平均の61%よりも高い上に、一戸建ての割合が75%と全国平均の49%を大きく上回っています。

さらに、山梨では毎年3,000戸以上の一戸建てが新たに造られている状況ですので、山梨の空き家問題は本気で取り組まなければならない社会的課題だといえます。

空き家が増え続ける理由

これから10年でさらに増え続けると予測される空き家ですが、なぜこれほどまで急速に増えてしまったのでしょう?

この章では空き家が増え続ける理由について解説します。

後継者の不在と住人の高齢化

空き家問題の大きな原因として、住人の高齢化が挙げられます。

空き家問題の大きな原因として、住人の高齢化が挙げられます。

入院、介護施設への入居、子供の家への転居など、高齢化による住人の不在によって空き家になるケースが目立っています。

子供夫婦との同居が当たり前だった時代は終わり、核家族化が進むと同時に、若者は都市部へ流出し、いわゆる「後継」がいなくなることで、住人の高齢化を境に空き家になるというのが典型です。

山梨の場合もこの後継問題は深刻で、山梨県が発行する成長戦略資料ー「2040年の山梨県の将来像」によりますと、転入者から転出者を引いた人口の社会増減数で、2018年は県外への転出超過数が2,454人のマイナスとなっており、うち8割が就職期の20代の若者です。

山梨の場合もこの後継問題は深刻で、山梨県が発行する成長戦略資料ー「2040年の山梨県の将来像」によりますと、転入者から転出者を引いた人口の社会増減数で、2018年は県外への転出超過数が2,454人のマイナスとなっており、うち8割が就職期の20代の若者です。
出典 / 2040年の山梨の将来像

【参考資料】 2040年の山梨県の将来像

これに人口の自然増減数のマイナス4,359人を足すと1年で7,000人近く山梨の人口は減っており、このペースは2040年頃まで続くだろうと予想されています。

人口減少、特に若者の転出が空き家の増加に拍車をかけている現実が見えてきます。

新築神話と敬遠される中古住宅

中古住宅よりも新しい家に住みたい。

欧米に比べて日本人は「新しい家」に対する思い入れが強く、ステータスとして新築を購入するいわゆる「新築神話」が根強い傾向にあると言われてきました。

欧米に比べて日本人は「新しい家」に対する思い入れが強く、ステータスとして新築を購入するいわゆる「新築神話」が根強い傾向にあると言われてきました。

事実、戦後の高度成長期からあらゆる場所で宅地開発が進み、新しい住居が量産されると同時に、親と同居せずに新しい世帯を持つ子供たちによる核家族化が進むことで「新築神話」により一層の拍車をかけてきたのです。

しかし、2016年頃を境にマンション業界において中古成約戸数が新築供給戸数を上回るなど、中古住宅の活況が目立ち始めました。ただ、このような状況は都市部や利便性の高い一部の地域に集中しており、山梨のような地方都市では依然として新築信仰は根強く残っています。

山梨における2021年度の新設住宅着工戸数は持ち家・建て売りを合わせて約3,500戸。ピークである1990年の13,780戸に比べると1/4程度に少なくはなっていますが、すでに7万戸以上が空き家になっている山梨において毎年3,000戸が新築されている状況です。

山梨における2021年度の新設住宅着工戸数は持ち家・建て売りを合わせて約3,500戸。ピークである1990年の13,780戸に比べると1/4程度に少なくはなっていますが、すでに7万戸以上が空き家になっている山梨において毎年3,000戸が新たに追加されている状況です。
山梨県 新設住宅着工戸数(平成17年度~令和3年度)

山梨は車社会であり複数台の広い駐車場が必要、土地が安い、農家である親の土地に家を建てることで土地代をかけずに一戸建てを建てられるなど、都市部と比較して環境的にも一戸建て需要が多い土地柄でもあります。このような地方特有の住環境もまた、空き家の増加に拍車をかけていると考えられます。

高額な取り壊し費用の問題

高額な取り壊し費用の問題

空き家の家主にとって取り壊し費用は大きな問題です。

解体費用の相場は、地域や建物の条件によって異なるものの150万円〜300万円ほどが一般的だと言われています。解体した部材を分別して資源として活用する業者もあれば、すべてゴミとして処分する業者もあり、解体業者によって費用に大きな差が出ることがあります。

そのため、地方など土地価格の安い地域では解体費用が売却金額を上回ってしまい、家を解体して売ることで赤字になるケースも見られます。

本当は売却したいが解体費用がネックとなり長年放置されている空き家は多く存在します。

実際にあったケースとして、ある解体業者に費用の見積もりを依頼したところ、高額で土地を売却しても赤字になってしまうために長い間放置されていた空き家がありました。ある時、知り合いが実家を解体したというので費用を聞くと、以前見積もった業者の半値ほどで解体できることがわかり、それなら土地を売却しても少しばかりの利益にはなるということで業者を紹介してもらい解体に踏み切った方もいます。

もし費用がネックになっている場合は、国や自治体からの補助金が利用できる場合もありますので、それらを活用することで取り壊し費用の軽減につなげることもできます。

【参考資料】 山梨県自治体の解体補助制度一覧

更地はリスク?固定資産税の問題

更地はリスク?固定資産税の問題

親から受け継いだ土地だけは売却せずに手元に残しておきたい、と考える空き家オーナーにとって頭の痛い問題が「固定資産税」です。

通常、固定資産税は建物と土地それぞれにかかりますので、家屋を取り壊すことで固定資産税が安くなると考えられますが実はそうではありません。

更地にすることで土地にかかる固定資産税は最大で6倍、都市計画税は3倍(※)になってしまい、家屋を残した方が総額で税金が安くなるという逆転現象が起きます。

そのため、本当は更地で土地を残しておきたい空き家オーナーも仕方なく家屋をそのままに所有を続けるといったことが起きているのです。

※都市計画税は自治体により指定された都市計画区域内に所在する土地及び家屋に対してのみ課税される制度です。都市計画区域外の土地及び家屋には課税されません。

この逆転現象の原因は「住宅用地特例」という減税制度です。

そもそも建物を建てた土地の固定資産税は「住宅用地特例」により固定資産税が1/6、都市計画税は1/3に減税されています。

そもそも建物を建てた土地の固定資産税は「住宅用地特例」により固定資産税が1/6、都市計画税は1/3に減税されています。

■税金の比較例
・土地の評価額:3,000万円
・住宅の評価額:500万円
・敷地面積:250㎡の空き家の場合

空き家の場合固定資産税額:約17万8000円
更地の場合固定資産税額:約49万8000円

家を建てる際にこの減税制度のことは行政もいちいち教えてくれませんので、査定された固定資産税を見て「こんなものか」と支払っているのが普通です。

ところがいざ家屋を取り壊す際に税金が跳ね上がることを知り、土地の売却を考えていない家主は更地を諦め、仕方なく建物をそのまま残して保有することになります。

ところがいざ家屋を取り壊す際に税金が跳ね上がることを知り、土地の売却を考えていない家主は更地を諦め、仕方なく建物をそのまま残して保有することになります。

国はこの税制による空き家の増加を止める手立てとして、崩壊の危険や環境リスクの高い空き家への税率を高める新たな制度を設けました。つまり「空き家でも危険リスクがある場合には税金が高くなる」という制度です。

この新たな制度の詳細に関しては次章の「空き家のリスク」で詳しく説明します。

自然災害で空き家が増える?

自然災害で空き家が増える?

この章の最後に近年の地球環境の悪化による自然災害がもたらす空き家への影響について触れておきたいと思います。

地球環境と空き家。
一見すると関連なさそうなこの2つの問題ですが実は意外なところでつながっています。

2001年に土砂災害から国民の生命を守るための法律「土砂災害防止法」が施行され、土砂災害の危険のある地域を「土砂災害警戒区域」として指定することになりました。

そのため「土砂災害警戒区域」に建つ住宅への入居を躊躇する人が増え、「土砂災害警戒区域」に指定された地域では空き家が売れずに放置されるケースが増え始めたのです。

山梨においても甲府市北部に、傾斜地を利用して開発された住宅街があります。一時は自宅から甲府盆地の素晴らしい夜景が見えると人気でしたが、傾斜地ならではの不便さや、加えて「土砂災害警戒区域」に指定されたことで、空き家の買い手がつかずにそのまま放置され、地域全体として空き家の目立つ場所となっているところもあります。

このような地理的リスクを抱えた場所は建物が比較的好条件の物件でも買い手がつかないケースも多くあります。

空き家放置で発生するリスクとは

空き家放置で発生するリスクとは

空き家を放置することは周辺地域にも大きなリスクをもたらします。

この章では、空き家を放置することで発生する地域社会へのリスクと家主にかかる金銭的リスクについて解説します。

倒壊や火災による所有者責任のリスク

2020年に公表された国土交通省の「空き家所有者実態調査」によると、別荘や貸し家等を除く空き家全体の6割が腐朽や破損した空き家であるとの調査結果が発表されました。

【参考資料】 令和元年空き家所有者実態調査

腐朽や破損した空き家を放置することで発生する大きなリスクがあります。
それが所有者賠償責任です。

老朽化や自然災害での倒壊、または火事などにより隣家や第三者に損害を与えた場合には、腐朽や破損した空き家を放置したこと自体が重大な過失と認定され、所有者に賠償責任が発生する可能性があります。

老朽化や自然災害での倒壊、または火事などにより隣家や第三者に損害を与えた場合には、腐朽や破損した空き家を放置したこと自体が重大な過失と認定され、所有者に賠償責任が発生する可能性があります。

放置された空き家の多くは火災保険や第三者への補償を含む保険等へ加入していない場合が多く、万が一このようなリスクが発生した場合には所有者の賠償負担は計り知れません。

家屋が古くなればなるほど同時にリスクも高まりますので、所有者は家屋が古くなる前の早い段階で対応すべきです。

景観や環境悪化のリスク

2つ目のリスクは景観の悪化です。

ゴミ屋敷と化した空き家がTVなどでも紹介されることもありますが、空き家を放置すると雑草が伸びたり、建物が老朽化して害虫を呼び寄せたり、悪臭を放つなど周囲の景観と住環境を悪化させる要因になります。

また多いのが空き家が公共のゴミ箱と化してしまうケースです。

また多いのが空き家が公共のゴミ箱と化してしまうケースです。

住人がいないことをいいことに誰かが小さなゴミを捨てることで、次第にゴミを捨てる人が増え続け、最悪の場合、遠方からわざわざ粗大ゴミを不法投棄しにくる輩が現れることまであります。

空き家による景観リスクは、近隣住民だけではなく、エリア全体の需要を低下させてしまうなど思いのほか大きな影響を及ぼしかねません。

犯罪に利用されるリスク

3つ目は空き家が犯罪に利用されるリスクです。

実際にあった事例としては、窃盗目的で侵入した空き家に火をつけ証拠隠滅を図ったケースや、不法投棄が繰り返されたり、麻薬の密売や大麻の栽培を行なっていたケースなどがあります。

このようなケースでは、火事により家主に賠償責任が発生したり、犯罪との関わりを疑われたりと時間的にも精神的にも家主に大きな負担がかかることになります。

特定空家に指定される税制上のリスク

4つ目のリスクは税金が跳ね上がるかもしれないリスクです。

特定空家に指定される税制上のリスク

新しい法律により空き家を放置することで更地同様の高い固定資産税が課せられるかもしれません。

2015年に制定された「空き家対策法」(空き家対策特別措置法)は、全国に増える空き家問題への対応策として国が定めた法律です。

この法律により防犯、景観、衛生などの観点から危険や害があると判断された家屋は「特定空き家」に認定されます。

この認定を受けた空き家に関して自治体は固定資産課税台帳を参照するなどして、所有者名義を特定できるようになります。また、空き家への立ち入り調査や修繕・撤去命令・行政代執行による建物の解体とその費用を所有者に対して請求可能になります。

空家対策特別措置法とは

防犯、景観、衛生などの観点から危険や害があると判断されると、その家屋は「特定空き家」に認定されます。「特定空き家」になると、行政は固定資産課税台帳を参照するなどして、所有者名義を特定できます。また、空き家への立ち入り調査も行えるほか、修繕や撤去を命令、さらに行政代執行で建物を解体、その費用を所有者に請求することができます。

さらには市区町村から「特定空き家」に対して勧告以上の行政処分を受けた場合には、土地部分の固定資産税の特例適用が解除され、更地と同様の最大で6倍の固定資産税がかかる場合があります。

]国が定める「特定空き家」とは以下のような状態を指します。

特定空き家に指定されるケース

・衛生上で有害となるおそれがある
・倒壊などの危険がある
・周辺住民の生活環境を妨げている
・景観計画やルールに適していない

空き家問題の対応策

空き家問題の対応策

前章で紹介した空き家対策法が制定された現在では、空き家を放置することは家主にとってリスクでしかありません。この章では「特定空き家認定」を回避するために家主ができる回避策について解説していきます。

家主としてできる空き家対策は主に以下の4つが考えられます。

貸し出す

不動産会社や自治体などを通じ、賃貸物件として貸し出す方法です。

運用する

空き家を改修し、テナントやコワーキングスペースなどとして運用する方法です。

売却する

空き家を売却して手放す方法です。資産は失われますが家屋を現金化することができます。

空き家のまま管理する

民間の空き家管理サービスなどを利用して、家屋の老朽化を防ぎながら空き家のまま保持する方法です。

空き家を放っておくことで資産価値は下がり、買い手もつきづらくなります。空き家を放置する期間を少しでも短くすることで資産価値の低下を最小限に食い止めることができます。

それでは各対策について詳しくみていきましょう。

【対策1】 空き家を貸し出す

【対策1】 空き家を貸し出す

空き家を住居として貸し出す方法です。

空き家を貸し出すメリットは、資産を手元に残しながら家賃収入を得られることです。

家賃も入るうえに老朽化も防げるなどメリットの多い方法ですが、築年数や設備などある程度条件の整った物件が好まれるほか、入居者とのトラブルなど思わぬ対応が必要になる場合もあります。

メリット

家賃収入が入る

空き家を放っておくことはコストにしかなりませんが、貸し出すことで家賃収入が入る資産となります。

資産を手放さずに済む

思い出の詰まった実家などの場合、売却を躊躇する方も多いものです。賃貸に出すことで家屋を手放さずに手元に残しておくことができます。

家屋の老朽化を防げる

人が住むことで定期的な換気やメンテナンスが行われ、家屋の急激な老朽化を防ぐことができます。

デメリット

入居希望者がいなければ収入にならない

家賃収入を得るためには当然入居者がいなければなりません。賃貸物件は、立地や設備面で条件の良い物件から埋まっていきますので、条件によっては入居者が決まらずに収入にならないケースも考慮しておく必要があります。

入居者とのトラブルに巻き込まれる可能性

入居に際しては通常審査を行いますが、どんな入居者かによりトラブルの対応が必要になる場合もあります。管理会社に依頼している場合でも近隣住民とのトラブルなど大家が対応しなければならないケースもあります。

設備など定期的に一定の修繕費がかかる

入退去のルームクリーニング、設備の修理や交換などは基本的に貸主側の負担になります。家賃や入居年数によっては家賃収入よりも家主側から多くの費用が持ち出しになる場合もあります。

賃貸契約の注意点

空き家を賃貸に出す際の相談先としては、賃貸物件を扱っている不動産会社や自治体が行っている空き家バンクなどのマッチングサービスを利用するのが一般的です。

賃貸を相談する際に注意したいのが賃貸の契約形態です。

通常は「普通借家契約」か「定期借家契約」のどちらになります。「普通借家契約」は入居者から退去の申し出がない限り、契約が更新され、正当な理由がなければ貸主から退去させることができない契約形態です。後者の「定期借家契約」は一定の期間を設けて貸し出す契約形態です。今後売りに出すことを考えている場合には後者の契約にして様子を見るなどの方法が有効です。

【対策2】  空き家を運用する

【対策2】  空き家を運用する

空き家を改装し、テナントやコワーキングスペース、宿泊施設などとして自身、または仲介業者に依頼して運営する方法です。

空き家の活用例

空き家を運用する際の活用例としては以下のものがあります。

  • コワーキングスペース
  • 事務所
  • 民泊
  • テナント
  • イベントスペース
  • ショップ等

メリット

高い収益率

付加価値のあるサービスを提供して活用することで、賃貸より高い収益を得ることも可能になります。

低コストでビジネスが始められる

自身でビジネスを興す場合には家賃がかからないため低コストでビジネスをスタートすることができます。

資産価値の向上

初期投資は必要になりますが、古い住宅として残すよりもリフォーム、リノベーションを施すことで資産としての価値を高めることができます。

デメリット

初期投資が必要になる

利益を産む施設にするためには、リノベーションなどの改築、改装などそれなりの初期投資を行い見栄えや環境を整える必要があります。

経営センスが問われる

自身で空き家をビジネス活用するためには、ビジネスを軌道に乗せるための経営能力が問われます。また積極的に関わる必要があるため本人の負担は大きくなります。

赤字による出費の増大

初期費用をかけて改装したもののビジネスが軌道に乗らずに赤字になることも。その場合、初期費用と合わせて多額の損失を被る可能性もあります。

空き家活用のサポート・補助金について

山梨県宅地建物取引業協会では山梨県と協力し、空き家の活用サポートを行なっています。これは認定事業者が貸主と賃貸契約を結び、貸主に代わって空き家を運用・管理するサービスです。自身での活用に比べてリスクを抑えることができ、補助金を利用することで初期費用を抑えながら賃貸収益を得ることができます。詳しくは下記の「空き家活用ビジネス補助制度」資料をご覧ください。

【参考資料】 空き家活用ビジネス補助制度

【対策3】 空き家を売却する

【対策3】 空き家を売却する

空き家を所有する方の多くは最終的に売却を選択します。

その理由は一番手間をかけずに空き家問題を解決できる点にあります。ただし、思い出の詰まった家屋を売却する決断は精神的な苦痛を伴うこともありますので、メリットデメリットを考慮したうえで慎重に検討する必要があります。

メリット

手間がかからない

空き家の売却は仲介業者に依頼するだけで済むため手間がかかりません。依頼を受けた仲介業者が値付けから買い手探しまで全ての工程を家主に代わり行なってくれます。

費用の持ち出しがない

空き家を現状のまま売りに出す「中古戸建」では、家主の金銭的な持ち出しはありません。仲介手数料も売却金額から相殺するため別途お金を用意する必要はありません。

維持管理の心配がなくなる

家を手放すことで維持管理の手間から解放されます。また維持費や管理費などの出費の心配も今後しなくて済みます。

遺産を均等に配分できる

親から相続した自宅を売却して現金化することで、兄弟に平等に遺産を分配することが可能になります。

売却のデメリット

精神的ストレスがかかる

慣れ親しんだ家屋を売却することは、思いのほか精神的な負担やストレスがかかるものです。関係者としっかり話し合い、気持ちを切り替える時間を取る必要があります。

条件によっては売れるまでに時間がかかる

売主と買主の間に不動産会社が入る「仲介」を選択した場合、建物の状態によっては買い手がすぐに見つからないことがあります。通常は3ヶ月から半年が目安ですが、物件によっては1年以上かかる場合もあります。

希望する金額で販売できない可能性も

築年数・設備・間取りの状況などにより、想像していた金額よりも安い販売価格が提示されることもあります。不動産会社によって査定の条件も異なりますので信頼できる不動産会社を探すか、複数の業者に査定依頼を出すのが良いでしょう。

不動産売却の買取りと仲介はどちらがお得か?

不動産売却の買取りと仲介はどちらがお得か?

不動産の売却には売主と買主の間に不動産会社が入る「仲介」と、不動産会社が直接物件を買い取る「買取」の2種類があります。

すぐに現金化したいなど特別な事情がなければ、まずは通常の相場価格で売却ができる「仲介」を選択するのが得策です。

仲介で買い手が見つからない場合には価格を下げるなどの対応を行います。それでも買い手が見つからない場合には「買取」を検討することになります。

こんな場合には「買取」を検討しましょう

基本的には「買取」よりも「仲介」の方が高額で売却することが可能になりますが、以下のような条件がある場合には最初から「買取」を検討することも必要です。

  • 早急に現金が必要
  • 築年数が古く、設備や立地条件が悪い物件
  • 周囲に知られずに売却したい

空き家を高く売るポイント

空き家を少しでも高く売るためには「見た目の印象」が大切になります。

売主が遠くに住んでいるような場合、室内に家具やゴミが残っていたり、庭に雑草が生い茂っていることなどがあります。このような場合には、せっかく内観希望者が現れても実際に物件を見て購入を躊躇してしまいます。

売却の際には手間を惜しまず、建物を綺麗に見せる工夫と手間をかけた方が得策です。

【対策4】 空き家のまま管理する

【対策4】 空き家のまま管理する

最後に紹介する対策は、空き家管理サービスなど、空き家管理を専門とする業者に依頼する方法です。

近年、空き家の増加に伴い、多くの民間会社がこの空き家管理ビジネスをスタートしています。管理費も月額数千円〜と安く設定している業者も多くありますので、空き家をそのまま手元に残しておきたい場合には有効なサービスといえます。

主な空き家管理サービス

空き家のみまもりサービス(郵便局)

るすたくサービス(ALSOK)

この他にも、様々なサービスがありますので、価格や内容をじっくり比較検討してから決めるのが良いでしょう。

山梨の自治体が運営する空き家バンク情報

空き家の賃貸・売却を希望する場合に活用したいのが、自治体が運営する「空き家バンク」です。

もてぎ不動産も所属する山梨県宅地建物取引業協会は、山梨県内の各自治体と協定を結び、物件の調査・案内・契約などの手続きを行なっております。

県宅建協会に加盟する不動産会社に加え、自治体の担当職員もつきますので安心して依頼することができます。

詳細は以下の各自治体が運営する空き家バンク情報をご確認ください。

甲州市の空き家バンクhttps://www.city.koshu.yamanashi.jp/iju/akiya/
山梨市の空き家バンクhttps://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/citizen/docs/bank.html
南アルプス市の空き家バンクhttps://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/iju/akiyabank/
北杜市の空き家バンクhttps://www.city.hokuto.yamanashi.jp/docs/1727.html
韮崎市の空き家バンクhttps://www.city.nirasaki.lg.jp/soshikiichiran/sogoseisakuka/jinkotaisakutanto/2/index.html
甲府市の空き家バンクhttps://www.city.kofu.yamanashi.jp/nanboku/machi/sumai/kekaku/aki.html
南部町の空き家バンクhttps://www.town.nanbu.yamanashi.jp/kakuka/kikaku/akiyabanku_seido.html
身延町の空き家バンクhttps://www.town.nanbu.yamanashi.jp/kakuka/kikaku/akiyabanku_seido.html
大月市の空き家バンクhttps://www.city.otsuki.yamanashi.jp/shisei/shisaku_keikaku/akiyabanku.html
市川三郷町の空き家バンクhttp://www.town.ichikawamisato.yamanashi.jp/40administration/05kensetsu/2019-0331-1249-23.html
甲斐市の空き家バンクhttps://www.city.kai.yamanashi.jp/soshikinogoannai/shokokankoka/shokorodogakari/6/1/index.html
上野原市の空き家バンクhttps://www.city.uenohara.yamanashi.jp/gyosei/kurashi/hikkoshi/akiyabank/
富士川町の空き家バンクhttps://www.town.fujikawa.yamanashi.jp/life/jutaku/akiya/akiya_top.html
笛吹市の空き家バンクhttps://www.city.fuefuki.yamanashi.jp/kikaku/ijuteju/akiyabank/index.html
富士吉田市の空き家バンクhttps://www.city.fujiyoshida.yamanashi.jp/info/1993
中央市の空き家バンクhttps://www.city.chuo.yamanashi.jp/purposemenu/juutaku/1535.html
道志村の空き家バンクhttp://www.vill.doshi.lg.jp/akiyabank/
丹波山村の空き家バンクhttps://www.vill.tabayama.yamanashi.jp/

まとめ

増え続ける空き家のリスクと対策について解説しました。

山梨でも増え続ける一方の空き家ですが、何よりの対策はとにかく「早い段階で手を打つ」ことです。

山梨でも増え続ける一方の空き家ですが、何よりの対策はとにかく「早い段階で手を打つ」ことです。

放っておく期間が長ければ長いほど老朽化は進み、リスクは増大し、処分しようにも借主、買主が見つかりづらくなります。

空き家を所有する方の多くは、賃貸や売却などの不動産手続きを初めて経験する方で、「何から始めて良いかわからない」「どんな方法が最適なのかわからない」などたくさんの不安をお持ちかと思います。

近頃は各自治体も空き家問題には力を入れていますので、まずは自治体や信頼できる不動産会社へ相談することから始めてみましょう。

ご相談はもてぎ不動産へ

もてぎ不動産では、空き家の活用、処分に関するご相談を承っております。

「何からはじめて良いかわからない」という家主様のために、活用や賃貸、売却の手順を1からご説明し、家主様のご希望に沿った空き家対策をご提案します。

もてぎ不動産では、空き家の活用、処分に関するご相談を承っております。

もちろん、相談・調査などは無料で行なっております。

ぜひご相談ください。

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